東インドネシア諸島は、古くからキリスト教の教えが根付いた地域であり、看護教育にも力を入れてきました。しかし、インドネシア国内でも開発が遅れている地域で、経済的な理由から病院の数も限られており、看護大学を卒業しても正看護師として就職できる人は全体の10%にも満たないのが現状です。
看護への意識が高く、優れた教育を受けた若い人材が多くいるにもかかわらず、日本での介護分野に進むための日本語教育機関や送り出し機関は、地域内にはほとんど存在しません。さらに、経済的にも厳しい状況にあるため、主要都市で高額な授業料や送り出し手数料を支払って日本での就労を目指すことは非常に困難です。
ABIANでは、こうした若者たちが安心して学び、日本へと繋がることができるよう、地域の人々と協力しながら、互いに支え合い、持ち寄りの形で運営する低価格の学習プログラムを構築しました。東インドネシアの人材が、日本の介護現場でその力を発揮できるよう、実践的かつ持続可能なサポートを行っています。
ABIANでは、インドネシア政府「移住労働者保護省」東インドネシア諸島支局と連携し、日本の介護分野で働きたいと願う若者たちを支援する、地域密着型の学習プログラムを展開しています。
ABIANと提携している日本の介護法人の求人情報を、東インドネシア支局に直接提供し、現地で参加希望者を募集。面接はABIANと支局が共同で行い、本気で日本で働くことを望む若者が選ばれます。
学びの場は、元EPA看護師候補生で日本での5年の就労経験を持つ現地パートナーの自宅に開設された、まるで昔ながらの寺子屋のような教室。3カ月間、地域の仲間と助け合いながら、日本語の基礎をしっかりと学びます。
基礎を終えたあとは、試験を受けるためにバリ島へ。バリ島では、ABIAN代表が所有する寮に滞在しながら、集中して試験対策に取り組みます。この期間中も、日本で特定技能として働いている先輩たちがオンラインで交代しながら指導し、学習と心の両面でサポートします。
試験に合格した後は、東インドネシアの自宅に戻り、「移住労働者保護省」の支援を受けて日本就労ビザの申請を行います。ビザが発給されると、同省と連携している日本の介護法人にて、いよいよ日本での新たな一歩が始まります。
費用を抑え、地域の知恵とつながりを生かした、あたたかく、実践的な学びの場。
ABIANの寺子屋的プログラムは、若者たちの未来を皆で育てていく、新しい形の人材育成モデルです。
日本での就労を希望する、東インドネシア諸島の若い看護師候補生への人材育成事業が、2023年4月、大阪府の経営革新計画として認証されました。認証機関は3年間です。この期間に当初の計画に基づいて、スムーズな就労への支援と、就労後の支援を行ってまいります。